22 February 2017

The Past (Le passé) | ある過去の行方

Director: Asghar Farhadi
Writer:  Asghar Farhadi
Stars: Bérénice Bejo, Ali Mosaffa, Tahar Rahim, Pauline Burlet
2013/France = Italy = Iran
★★★★☆

『彼女が消えた浜辺』を観て、 要チェック、と思っていたアスガル・ファルハーディー監督。先日、BBC iPlayer で彼の2013年の作品『ある過去の行方』を発見、大喜びで鑑賞しました。

男女や親子の葛藤にまつわる心理劇に加えて、「犯人は誰だ?」的な謎解きの要素もあって、一瞬たりとも目が離せない秀作でした。

以下、かなりのネタばれとなりますので、これから観るわ~、という方はそっとウィンドウを閉じてくださいませ…。
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さて。映画はパリの空港に到着したアフマドをマリーが迎えに来る場面で幕を開けます。このシーンがねぇ、絶妙なのですよ。2人の関係はまだわからないのだけど、親しさの中に一触即発的な緊張感のある微妙な空気が彼らの間に流れていることはわかるのです。なになに?と一気に惹き込まれます。

やがて2人は夫婦で、だけどアフマドがマリーの元を去って故郷のイランに帰っていたことが明らかになります。マリーにはすでに新しい恋人サミールがいて、彼と結婚するために正式な離婚手続きをすべく、アフマドを呼び寄せたのでした。

このマリーを演じたのが『アーティスト』でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたベレニス・ベジョ。魅力的なんだけど、なんだかエライ自分勝手な女性を好演しておりました。『彼女が消えた浜辺』の主人公といい、この監督の描く女性ってちょっとビッチなんですよねぇ。監督の女性観を反映してるのかしらん?

マリーは、自分の2人の娘に加えて、すでにサミールとその息子と一緒に暮らしています。なのに、アフマドにホテルではなく自宅に泊まるよう言ったりするわけですよ。その間、サミールには自分の家に帰ってもらって(!)。そこには最近うまくいっていない、難しいお年頃の娘リュシーとの関係を取り持って欲しいという思惑があるのですが。

さて、このリュシー、反抗期で母親に反発しているのかと思いきや、サミールが既婚者で彼の妻が自殺未遂を起こして昏睡状態にあるのに、結婚を考えている母親が許せない、と。さらには実は妻が自殺を図る前日に、マリーとサミールがやり取りしたメールを彼女に転送していて、それが自殺の原因ではないかと罪の意識に苛まれていたのです。

このあたりの事情をアフマドが聞き出すのですが、一緒に暮らしていた頃はさぞ子供たちに慕われていたんだろうな、というのが伝わってくるんですよね~。

妻の自殺の原因、というのはその後新たな展開があって、結局は謎のままなんですけどね。だけど、本当は何があったのか?を推測するのに十分な材料が提供されているので、一緒に観た人と楽しくあーだこーだ言い合えそうです。

来月には、ファルハーディー監督の新作『セールスマン』が封切られます。是非とも観に行かなくちゃ!

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