13 September 2016

Edinburgh Festival Fringe 2016 (2) | エディンバラ・フェスティバル・フリンジ 2016 その2

さて。フリンジで観たもの、の続きです。

Bucket List/Theatre Ad Infinitum ★★★☆☆

毎回エディンバラで新作をお披露目しているTheatre Ad Infinitum。
数年前に彼らの「Translunar Paradise」を見て以来、毎作ロンドンでチェックしてきました。
この劇団、作品ごとにテーマもスタイルもガラリと変わるので、今回は何を見せてくれるのかワクワクしながら劇場へ。

今回のテーマはメキシコで搾取される労働者たち。
舞台はメキシコのとある村。アメリカ政府、メキシコ政府、そしてアメリカの大企業と地元の有力者の癒着によって、環境や労働条件に対する規制がないまま、地域は汚染され、劣悪な労働環境は改善されず。。。抗議デモに出かけた母親が殺された主人公の少女は、復讐のため関係者を1人ずつ殺していきます。

という重たい話が、身体的な演出と生演奏の音楽でエンターテイメントに仕上げられていました。
ただ、復讐のために殺人を犯す、というのが、ここで疑問を投げかけているんだろうとは思いつつ、受け入れられなくて、お芝居に今一つ入り込めませんでしたねぇ。

Yuri/August 012 ★★☆☆☆ 

高架下の穴倉のような劇場で観たお芝居。
主人公は子供を切望しているウェールズ在住の夫婦。
ある日、スーパーで出会った少年を家に連れ帰った妻は、彼を「ユーリ」と名付けて自分たちの子供として育てようと言い出します。。。

観客の巻き込み方とか面白かったのですが、全体的にまとまりのない感じ。
なにより少年ユーリが知的障害者のようで、その行動を笑う、という感じになっているのが居心地悪かった。。。

 Life According to Saki/Atticist ★★★

20世紀初頭に活躍した実在の作家サキの人生と彼の創作を描いたお芝居。
第一次大戦の塹壕を舞台に、次々とショート・ストーリが語られていきます。
仮面や人形なんかが使われているんだけど、大半は観客の想像力で補うようになっていたのが良かったですねぇ。なんだか本を読んでいるような感じで。
人形を文楽のように3人で動かしていて、ちょっとビックリしました。
フリンジにしては大掛かりなセットだったのですが、終演後、次の劇団の公演のために物凄い勢いで片付けてました。毎日こうやって組み立てては片付けてるなんて、頭が下がります。

Margaret Thatcher Queen of Game Shows  ★★★

マーガレット・サッチャーがゲーム番組の司会者でアシスタントはジョージ・オズボーンとマイケル・ゴーブ、という設定のコメディ。
劇場に入ると、テレビ・スタジオと客席、のようになっていて、リック・アストリーやらカイリー・ミノーグやら80年代の懐メロがガンガンにかかっておりました。お客さんもすでにノリノリ。

ショーでは、Brexit をテーマにしたくだらないゲーム(曲がったバナナを真っ直ぐにする、とか・笑)で観客を競わせつつ、風刺の効いたやり取りで笑わせます。
スコットランド国民党党首の二コラ・スタージョンをおちょくるシーンで観客の反応が割れていたのが興味深かったですねぇ。

アシスタントを演じた2人の役者さん、ダンスがキレッキレ。いくつもの役を速いテンポでこなしてました。
マーガレット・サッチャー役の役者さん、めっちゃ作り込んでましたねぇ。アドリブも効いてたし。

このショーはツレアイチョイスで、観に行く前は若干の不安があったのですが、完成度がめちゃめちゃ高くて、ずーっと笑いっぱなしでした。

Teatro Delusio/Familie Flöz ★★★

劇場のバックステージを舞台にした仮面劇。一切セリフのないマイムです。
これ、今回のベスト・ショーでした!
ストーリーらしきものはなくて、バックステージで働く3人の裏方とオペラ歌手や役者といった出演者たちの絡みで進んでいきます。
かなりの数のキャラクターが出てくるのですが、それをたった3人の役者さんたちが演じておりました。
人形も出てきて、これまた文楽のように3人で動かしてました。

マイムだと、登場人物の感情が増幅されてこちらに伝わる感じ。
仮面なんだけど、表情豊かなんですよね~。
ここで泣く?!というシーンで、ワタクシの涙腺、決壊しました。

En Folkefiende/Squint ★★★☆☆

エディンバラ滞在中、ランチ後に1本、ディナー後に1本観て、間の時間は街をウロウロしておりました。
ところが、この日はザンザン降りの雨。なので、午後にも1本観ることに。
たまたま入った劇場で目に留まったのが、イプセンの『民衆の敵』。
初イプセンでした。

劇場に入ってまず目に留まったのが、大きなガラスのキューブ。
この中で話が進んでいきます。
登場人物以外の役者さんたちはキューブの外にいて中を伺う、という演出。

真っ当な主張をしているのに、周囲の人々の思惑や利益に反しているせいで聞き入れてもらえない、というストーリーはめちゃめちゃ今日的。100年前からわたし達何も変わってないのねぇ。

Simon Evans: In the Money  ★★★

今回のコメディの〆はツレアイチョイスのお笑い。
何にビックリって、サイモン・エヴァンス、我がツレアイにソックリなのですよ!(この写真はそうでもありませんが)一緒に観に行った友人夫妻も「兄弟って言われても驚かないかも」と言っておりました。

さて。彼のトークのお題は「経済」。
英国では、1ベッドルームのアパート→3ベッドルームの家→2ベッドルームのアパート、のようにライフスタイルの変化に合わせて家を買い替えるのが一般的で、Property Ladder (不動産の梯子) を上るなどと言ったりします。
彼自身の不動産売買にまつわるエピソードをポルト酒片手に語る、というスタイル。
合間に吐く毒のあるコメントが効いておりました。

ただね~、これは完全にワタクシの英語力の問題なのですが、オチを早口で、しかも半分口の中でモゴモゴッと言うもんだから聞き取れず、周りが爆笑する中1人ポカーン、ということがちょくちょくありました(涙)

エディンバラ・フェスティバル・フリンジ、観るものによって当たり外れが大きいと聞いていたのですが、期待以上にクオリティ高かったです!
街中がお祭りムードで、連日夜10時頃にエディンバラ城で花火が上がっておりました(フェスティバル期間中、毎晩ミリタリー・タトゥーがあって、その後花火が上がるそう)。
これは要再訪ですな!

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