Director: Asghar Farhadi
Writer: Asghar Farhadi
Stars: Taraneh Alidoosti, Shahab Hosseini
2016/Iran = France
★★★☆☆
2016/Iran = France
★★★☆☆
今年のアカデミー賞で外国語映画賞を受賞した『セールスマン』。
イラン映画好きの友人と期待に胸膨らませて観に行ったのですが、終演後お互いに向かっての開口一番が、「長かったね~」。若干、冗長感が否めず、途中で集中力が切れかかったり。とはいえ、観終わった後いろいろと考えさせられる秀作、でありました。
主演2人は、『彼女が消えた浜辺』に出てましたね~。シャハブ・ホセイニは主人公のいばりんぼうな夫を、タラネ・アリドゥスティは謎の女性エリーを演じておりました。
というわけで、以下かなりのネタバレとなりますので、これから観に行く、という方はそっとウィンドウを閉じてくださいませ…。
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さて。エマッドとラナは仲の良い夫婦で、小さな劇団に所属して俳優として活動しています。
映画は、この2人が住むアパートで突然工事がはじまって、崩れかける建物から住人たちが泡を食って逃げ出す、という「え、これ、パニック映画?!」なシーンで幕を開けます。急遽引っ越しを余儀なくされた2人は、とりあえず劇団仲間の所有するアパートに落ち着くことに(そこには前住人だった女性の荷物が思いっ切り残ってたりするのですが)。
ずっと稽古していた『セールスマンの死』が初日を迎えた夜、一足先に帰宅したラナは何者かに襲われてしまいます。
病院に駆け付けたエマッドが目にしたのは、頭に大怪我を負った妻の姿でした。
犯人を捕まえるために警察に行こうと説得するエマッドですが、ラナは頑なに拒み続けます。恥の意識以外に、襲われる前に夫が帰って来たと勘違いして玄関の戸を開けっ放しにしたことから、自分も悪かったと思っている節があるのですよ。そして実際には何が起こったのか、を夫にも言わないのです。この辺りの心理はイスラム圏の文化から来ているのでしょうか?
夫のエマッドは、ならば、と自分で犯人探しに乗り出して、次第に復讐心に取り憑かれたようになっていきます。精神的に弱って怯える妻を労わるのが先なのでは、と思うのですが、そんな妻に対する苛立ちすら見せながら、やっきになって犯人を見つけようとするのです。
これって「俺の女に手ぇ出しやがって」的な、本人は妻のため、と思っているかもですが、完全に自分のため、な行動ですよね。
実際、妻は復讐を望んでおらず、2人の気持ちはどんどん離れて行ってしまいます。
で、結局犯人が明らかになるのですが、これが、すべての伏線がだーーーっと繋がっていく見事なシーンでしたねぇ。恐らく映画館中の人が「こいつだ!」と心の中で叫んだと思われます。
ところで、『セールスマンの死』の上演シーンが結構あったのですが、この芝居と映画の間になにかつながりがあるのかしらん?ちょっとワタクシにはわかりませんでした…。そして、イランでアメリカの芝居を上演できるんだ、ということに軽く驚きました(検閲に引っかかるセリフが、とか言ってましたが)。
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