Director: Ken Loach
Writer: Paul Laverty
Stars: Dave Johns, Hayley Squires
2016/UK=France=Belgium
★★★★★
Writer: Paul Laverty
Stars: Dave Johns, Hayley Squires
2016/UK=France=Belgium
★★★★★
ケン・ローチ監督の最後の作品、と言われている『わたしは、ダニエル・ブレイク』を観に行ってきました。
今年のカンヌ映画祭でパルムドールを受賞したこの映画、主人公ダニエルが不条理なまでに複雑な福祉システムに翻弄される姿が描かれています。先日のクエスチョン・タイムで、労働党のコービン党首がメイ首相に「ご覧になってはいかがですか?」と勧めておりました。
以下、映画の内容にかなり触れております。これから観に行く、という方はそっとウィンドウを閉じてくださいませ。。。
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さて。ニューキャッスルで腕のいい大工として働いていたダニエルは、心臓発作を起こして医者から仕事に復帰することを止められます。
映画冒頭、傷病手当を受給したいダニエルと審査担当の女性の電話での会話が流れてきます。この担当者がね~、もう "ザ・お役所" で(実際は行政から依頼された企業、らしいのですが)。マニュアルどおりというか、融通が利かないというか。そんな彼女に戸惑いながらも、ユーモアで応戦するダニエル。この時点で映画館中の人が彼に声援を送っていたハズ。
傷病手当の申請が何故か「働くことができる状態にある」という理由で却下されたダニエルは、ならば、と失業手当を申請しようとします。
これがまた茨の道で、電話をかけても延々と待たされ、慇懃無礼な担当者は型通りの質問をするばかりでこちらの質問には答えてくれず、申請はオンラインでしか受け付けてもらえず。。。文字通り右往左往する(させられる)ダニエルを演じたデイブ・ジョンズは、コメディアンだそうで、追い詰められながらも、どことなくとぼけた味わいのあるダニエルを好演しておりました。あと、この人がうちのご近所さんにソックリで。そういう意味でも、一層感情移入してしまったのでした。
さて、そんなダニエルは、ひょんなことから2人の子供と一緒にロンドンから越してきたシングル・マザーのケイティと知り合います。2人は助け合いながら交流を深めてゆくのですが、映画ではこのケイティをとおして、これでもか、これでもかと「貧困」というものを見せつけてくるのです。
この映画がスゴイのは、重たいテーマを扱いながらもエンターテイメントとして成立していること。そのおかげで、作品のメッセージがすんなりと入ってきたように思います。
ところで、6月の国民投票で Brexit が決まったとき、「信じられない!」と驚きを隠せないわたしに、友人の1人(残留派)が「それは、あなたがエリート(特権階級)だからだよ」と言ったのですね。そのときは、よく意味がわからなかったのだけど、この映画を観て、少なくとも現行のシステムで生活に困窮していないわたしは、エリートかどうかはともかく、非常に幸運なのだな、と。
ダニエルやケイティのように、ほんの少し足を踏み外しただけで、救済されることなく生活が立ち行かなくなる、という立場だったら。 そりゃあ、「現状維持」を象徴する「EU 残留」じゃなくて、「現状を変えてくれ!」と抗議すべく「離脱」に投票するよなぁ。。。そんなことを思いながら、どんよりとした気持ちで映画館を後にしたのでした。。。
以下、映画の内容にかなり触れております。これから観に行く、という方はそっとウィンドウを閉じてくださいませ。。。
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さて。ニューキャッスルで腕のいい大工として働いていたダニエルは、心臓発作を起こして医者から仕事に復帰することを止められます。
映画冒頭、傷病手当を受給したいダニエルと審査担当の女性の電話での会話が流れてきます。この担当者がね~、もう "ザ・お役所" で(実際は行政から依頼された企業、らしいのですが)。マニュアルどおりというか、融通が利かないというか。そんな彼女に戸惑いながらも、ユーモアで応戦するダニエル。この時点で映画館中の人が彼に声援を送っていたハズ。
傷病手当の申請が何故か「働くことができる状態にある」という理由で却下されたダニエルは、ならば、と失業手当を申請しようとします。
これがまた茨の道で、電話をかけても延々と待たされ、慇懃無礼な担当者は型通りの質問をするばかりでこちらの質問には答えてくれず、申請はオンラインでしか受け付けてもらえず。。。文字通り右往左往する(させられる)ダニエルを演じたデイブ・ジョンズは、コメディアンだそうで、追い詰められながらも、どことなくとぼけた味わいのあるダニエルを好演しておりました。あと、この人がうちのご近所さんにソックリで。そういう意味でも、一層感情移入してしまったのでした。
さて、そんなダニエルは、ひょんなことから2人の子供と一緒にロンドンから越してきたシングル・マザーのケイティと知り合います。2人は助け合いながら交流を深めてゆくのですが、映画ではこのケイティをとおして、これでもか、これでもかと「貧困」というものを見せつけてくるのです。
この映画がスゴイのは、重たいテーマを扱いながらもエンターテイメントとして成立していること。そのおかげで、作品のメッセージがすんなりと入ってきたように思います。
ところで、6月の国民投票で Brexit が決まったとき、「信じられない!」と驚きを隠せないわたしに、友人の1人(残留派)が「それは、あなたがエリート(特権階級)だからだよ」と言ったのですね。そのときは、よく意味がわからなかったのだけど、この映画を観て、少なくとも現行のシステムで生活に困窮していないわたしは、エリートかどうかはともかく、非常に幸運なのだな、と。
ダニエルやケイティのように、ほんの少し足を踏み外しただけで、救済されることなく生活が立ち行かなくなる、という立場だったら。 そりゃあ、「現状維持」を象徴する「EU 残留」じゃなくて、「現状を変えてくれ!」と抗議すべく「離脱」に投票するよなぁ。。。そんなことを思いながら、どんよりとした気持ちで映画館を後にしたのでした。。。
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